労働条件通知書の書き方・作り方
完全ガイド【2024年4月・2026年10月 改正対応】
この記事では、労働条件通知書の書き方・作り方について、社会保険労務士が監修のもと徹底解説します。 2024年4月の法改正で追加された記載事項や、雇用形態ごとの注意点、無料で使えるオンライン作成ツールもご紹介します。
最終更新:2026年9月 / 監修:スポット社労士くん社会保険労務士法人
目次
1. 労働条件通知書とは?
労働条件通知書とは、労働基準法第15条に基づき、使用者(会社・事業主)が労働者に対して、 採用時に労働条件を書面で明示するために交付する書類です。
賃金・労働時間・休日・就業場所・業務内容・契約期間など、 労働者にとって重要な労働条件を記載します(厚生労働省のモデル様式の名称も「労働条件通知書」です)。
ポイント
労働条件通知書の交付は法律上の義務です。正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員・嘱託社員など、 すべての雇用形態で必要です。
2. 労働条件通知書と雇用契約書の違い
| 労働条件通知書 | 雇用契約書 | |
|---|---|---|
| 法的義務 | あり(労基法第15条) | なし(推奨) |
| 性質 | 使用者→労働者への一方的通知 | 双方の合意に基づく契約 |
| 署名・押印 | 不要 | 法律上の要件ではないが、双方の署名・押印が望ましい |
| 兼用 | 「雇用契約書 兼 労働条件通知書」として兼用可能 | |
実務では「雇用契約書 兼 労働条件通知書」として1枚の書類にまとめるケースも多く見られます。 いずれの場合も、労働基準法で定められた明示事項を漏れなく記載することが重要です。
3. 記載が必要な項目一覧
労働条件通知書に記載すべき項目は、絶対的明示事項(必ず記載)と相対的明示事項(制度がある場合に記載)に分かれます。
絶対的明示事項(必ず明示。昇給以外は書面での明示が必須)
- 労働契約の期間
- 期間の定めがある場合の更新の基準
- 就業場所・従事すべき業務の内容
- 就業場所・業務内容の変更の範囲【2024年新設】
- 始業・終業の時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇
- 交替制勤務の場合のローテーション
- 賃金の決定・計算・支払方法、締め日・支払日
- 昇給に関する事項(明示は必須、書面でなくても可。ただしパート・有期は「昇給の有無」の書面明示が必須)
- 退職に関する事項(解雇事由を含む)
相対的明示事項(制度がある場合のみ)
- 退職手当の定めが適用される範囲、計算・支払方法
- 臨時に支払われる賃金、賞与、最低賃金額
- 食費・作業用品等の負担
- 安全衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償・業務外傷病扶助
- 表彰・制裁に関する事項
- 休職に関する事項
4. 2024年4月 法改正のポイント
2024年4月1日施行の改正により、労働条件通知書に新たに4つの明示事項が追加されました。
1. 就業場所・業務内容の「変更の範囲」
従来は雇入れ直後の就業場所・業務内容のみの明示でしたが、改正後は将来的に変更しうる範囲も明示が必要になりました。 全労働者が対象です。
2. 更新上限の明示(有期契約労働者)
有期労働契約の締結・更新時に、通算契約期間または更新回数の上限の有無と内容を明示する必要があります。 上限を新たに設ける・短くする場合は、あらかじめその理由を説明しなければなりません。
3・4. 無期転換申込機会と無期転換後の労働条件
無期転換申込権が発生する契約の締結・更新のたびに、無期転換を申し込める旨(3)と転換後の労働条件(4)を明示する義務が追加されました。契約を更新しない場合でも、申込権が発生する契約なら必要です。 あわせて、正社員等とのバランスを考慮した事項を説明するよう努めることとされています。
注意
法改正前のテンプレートをそのまま使い続けると、法令違反になる可能性があります。 必ず2024年4月以降に対応したフォーマットを使用してください。
2026年10月1日施行:待遇の相違の説明を求められる旨の明示(パート・有期)
パートタイム・有期雇用労働法施行規則の改正により、パート・有期契約の方を雇い入れるとき(契約更新時を含む)は、「通常の労働者との待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる」旨と、その窓口の明示が必要になります。 当システムでは、パート・契約社員・嘱託社員の通知書に、この一文と相談窓口を自動で記載します。
5. 雇用形態別の注意点
正社員
契約期間は「期間の定めなし」と記載します。2024年法改正により、就業場所・業務内容の変更の範囲の記載が必要です。 退職に関する事項(定年年齢・再雇用制度など)も忘れずに明示しましょう。
パートタイマー・アルバイト
パートタイム・有期雇用労働法により、通常の明示事項に加えて以下の項目の文書交付が義務付けられています(契約社員・嘱託社員などの有期契約も同じです。違反は10万円以下の過料):
- 昇給の有無
- 退職手当の有無
- 賞与の有無
- 相談窓口(担当部署・担当者名)
- 待遇の相違の説明を求められる旨(2026年10月〜)
契約社員(有期雇用)
契約期間・更新の有無・更新基準を明示します。2024年法改正で追加された更新上限の明示と無期転換に関する明示(該当する場合)も必須です。
嘱託社員(定年後再雇用)
定年後の再雇用では、労働条件が変わるケースが多いため、特に賃金・労働時間・業務内容について詳細に記載することが重要です。 有期契約となる場合は、契約社員と同様の明示事項が必要です。
6. 交付しないとどうなる?罰則について
労働条件通知書を交付しない場合、労働基準法第120条により30万円以下の罰金が科される可能性があります。 また、パート・有期契約の方に昇給・退職手当・賞与の有無などを文書で明示しない場合は、パートタイム・有期雇用労働法第31条により10万円以下の過料の対象となります。
罰金以外にも、以下のリスクがあります:
- 労働者との間で労働条件に関するトラブル・訴訟が発生しやすくなる
- 労働基準監督署の是正勧告の対象になる
- 企業の信用・ブランドイメージの低下
- 明示された条件と実際の条件が異なる場合、労働者は即時退職が可能(労基法第15条2項)
7. 電子交付(メール送信)のルール
2019年4月の法改正により、以下の条件を満たす場合に限り、労働条件通知書の電子交付が認められています:
- 労働者本人が電子交付を希望していること
- 受信する人を特定して送る方法(メール、LINE等のSNSのメッセージ機能など)であること
- メールの本文または添付ファイルを出力(印刷)して書面にできること
Webページのリンクだけを送る方法は、通達(平成30年12月28日 基発1228第15号)の「本文又は添付ファイル」にあたらないおそれがあります。 当システムのメール送信は、通知書の全文をメール本文に記載して送ります。
8. 無料で労働条件通知書を作成する方法
労働条件通知書の作成方法は主に3つあります。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| Excel/Word テンプレート | 無料で入手可能 | 記載漏れのリスク、管理が煩雑 |
| 有料SaaS (SmartHR等) | 多機能、他システム連携 | 月額費用が高い(数万円〜) |
| スポット社労士くん (当システム) | 完全無料、社労士監修、 メール送信・管理機能つき | - |
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